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女性が自己免疫疾患に掛かり易い訳

2024-05-18 10:33:01 | 健康・医療
私が派遣社員として勤務していた研究所の女性が、膠原病という自己免疫疾患にかかっていました。普段は元気なのですがちょっとしたことで不調になってしまうようでした。

免疫系は、身体を病気や感染症から守ってくれています。しかしおよそ10人に1人(その8割が女性)は、免疫系が不調となり、自分自身の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患にかかります。

最近の研究によると、男性より女性がかかりやすい理由は、女性が持つ2つのX染色体のうち1つを停止させるメカニズムと関連している可能性があるようです。女性の体の細胞では、Xistとよばれる分子の働きで、2つあるX染色体の1つが不活性化しています。

スタンフォード大学の研究は、このXistが自己免疫反応を引き起こすもとだと示唆しています。自己免疫疾患は、多発性硬化症、関節リウマチなど80種類以上にのぼります。その大半は思春期以降に診断が下され、患者の8割は女性です。

そのため男女差の主な理由は女性ホルモンにあると考えられていました。女性の方が自己免疫疾患のリスクが高いのは、自分の子供の命を守るためという説もあります。女性は男性よりも抗体を多く作る傾向にあり、それが母乳を通して女性と赤ん坊の両方を守るとしています。

女性の体の各細胞には2つのX染色体があります。1つは母親から、もうひとつは父親から受け継いたものです。男性はX染色体は母親から、それよりずっと小さいY染色体を父親から受け継ぎます。

X染色体上にある遺伝子の活動が男女で同等になるように、女性のすべての細胞内では、X染色体のうち1つがランダムに不活化します。これは胎児の発達段階の初期に、Xist分子とそれに結びつくタンパク質が、X染色体のうち1つにまきついて起こります。

メスのネコに三毛猫がいるのは、このX染色体の不活性化が原因です。三毛猫の場合3色のうち黒か茶色を決める遺伝子がX染色体上にあるため、毛の一部は一方のX染色体によって黒に、また別の部分はもう一方のX染色体によって茶色になります。

他の染色体にある別の遺伝子が働くと白くなります。しかしX染色体のこうした仕組みは完璧ではなく、不活化されたはずの遺伝子の15〜23%はそのまま活性を保ちます。活性が保たれる遺伝子のひとつは、全身性エリトマトマトーデスと関連があると考えられています。

またX染色体を余分に持って生まれた男性も自己免疫疾患を発症するリスクが高いことからも、X染色体の重要な役割がうかがわれます。

このようにX染色体の不活化が自己免疫疾患につながると言われても、どうしようもない問題のような気がします。


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